ヘッドライト加工プロジェクター

「へつ、遣やられたかな。」と加工は呟ぼやきながら何気なくその釣綸つりいとを引張り寄せると、ちらと釣竿の端が見えだした。 半分程引寄せてみると、これはまた結構な釣竿で、加工の持合せなどとは迚とても比べ物になりさうもない。「ヘッドライト加工プロジェクターだ、大分金目かねめの掛つた拵こしらへだぞ……」 こんなことをいい、竿の根元まで引揚げると、しつかり握り詰めた人間の片腕がずつと揚つて来た。「や、死人が……」 釣好きの加工は覚えず声を立てて、手を放さうとしたが、打捨うつちやるには余りに結構な釣竿なので、「気の毒だが余り結構だからこの竿だけは貰ふよ。」と、い訳をしいしい、その片腕を捉つかまへて堅く握りつめた五本の指を解ほどいた。竿から外された片腕は黙つて沈んで行つた。

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